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脳神経外科2022年09月16日 投稿

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板の退行変性、荷重負荷などが要因となって、線維輪断裂部から髄核が脱出したり、線維輪の一部が後方ないし後側方へ突出し、馬尾神経や神経根単独に圧迫症状を生じたものです。30〜50歳代の男性に多く、L4/L5、L5/S1、L3/L4の順に高頻度です。椎間板の突出は正中線上よりも、側方に起こりやすく、単一神経根の圧迫から始まります。激しい腰痛を伴うことが多いですが、数日前より腰部の違和感など前駆症状を呈することもあります。咳、くしゃみ、排便に伴う力みなどで痛みが誘発されます。L5神経根症状では、下腿外側から足背部の異常感覚や痛みが見られ、足関節や母趾の背屈障害を認めます。膀胱直腸障害を認めることは少ないですが、大きなヘルニアで馬尾全体を圧迫する場合には生じることがあります。

単純CTでヘルニア塊が観察されます。圧迫された神経根や狭小化したくも膜下腔を評価するためにはCTミエログラフィーやMRIが有用です。

局所安静や内服薬(抗炎症薬、筋弛緩薬など)、急性期以降の牽引、コルセット固定などの保存的治療が第一選択となります。脱出した髄核は数ヶ月で吸収されることが多く、圧迫の消退とともに神経根の浮腫や循環障害も改善します。保存的治療が奏効せず日常生活に支障がある場合や再発を繰り返す場合、筋力低下や筋萎縮など神経症状が顕著な場合には手術適応となります。膀胱直腸障害を呈する重度のヘルニアは手術の絶対適応です。手術は後方アプローチで椎弓を部分切除し、神経を圧迫しているヘルニア塊を摘出するのが一般的です。保存的治療で大半の症例が症状改善し、予後良好です。外科治療を行なった場合、術前に筋萎縮、腱反射消失、尿失禁など重篤な神経障害がなければ改善が期待できます。

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