解離性動脈瘤
動脈壁が解離することにより壁内に血液が入り込み、動脈瘤様に拡大したり、本来の血管腔を狭小や閉塞させる病気です。高血圧や頚部の回旋などが解離の誘因になることがありますが、原因は不明です。40〜50歳代の男性に好発し、我が国では椎骨・脳底動脈系に圧倒的に多くみられます。
頭蓋内解離性動脈瘤の場合は、くも膜下出血で発症する例が最も多く、次いで脳虚血症状での発症がみられます。頭痛や頚部痛のみで発症する例や偶然発見される例もあります。くも膜下出血で発症する例では急性期に再出血により転帰不良となる例が多く、脳虚血症状で発症する例では突然の頭痛・頚部痛の後に小脳・脳幹梗塞をきたします。
内頸動脈系では内頚動脈と中大脳動脈に発生することが多く、脳梗塞として発症します。頚部内頚動脈の解離は自然治癒例が多くみられます。
血管撮影での偽腔と真腔の血管内腔の両者を示す二重管腔または解離した内側の膜は特異的な所見です。また、MRIでの壁内血腫、血管撮影での血管内腔の拡張部分と狭窄部分を示す所見も診断の根拠になります。治療は出血発症例では早期に再出血をきたしやすいので、緊急治療が必要となります。血管内手術によりコイルで解離部分を含めた椎骨動脈を閉塞する方法が多く行われます。解離部分に後下小脳動脈の起始部が含まれる場合には、バイパス手術を併用した椎骨動脈閉塞術が行われます。虚血発症例では、血圧を厳重に管理しながら保存的に治療しますが、解離部の増大が認められた時には出血発症例と同様の治療を考慮します。