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脳神経外科2022年09月16日 投稿

もやもや病

頭蓋内の内頚動脈終末部が徐々に狭窄して閉塞する病気です。日本を含めたアジア地域に多くみられますが原因不明で、難病に指定されています。病気の初期では、内頚動脈から脳に供給される血液が足りなくなるため、手足のしびれや意識障害、運動麻痺、言語障害、痙攣などが現れます。狭窄が進むと内頚動脈より脳の中に細い血管が多数発生しますが、脳出血の発生源になります。
子どもの場合は、熱い麺類を冷ますために息を吹きかけた時、大声で泣いた時のように、大きな呼吸を短時間に繰り返す過呼吸によって、症状が現れることが典型的です。一過性の脳虚血発作(脳の一部の血液の流れが一時的に悪くなることで、半身の運動まひなどの症状が現れ、24時間以内に完全に消える)が起こり、手足の脱力や言語障害などの症状が出現します。朝方に、頻繁に頭痛を訴えることもあります。
大人の場合は、脳梗塞や脳出血を起こしてから初めて発見されることがあります。

診断は、MRIやMRAによってなされます。もやもや病への根本的治療は現在のところありません。内科的治療は発作を減らすための血圧管理、血栓形成防止のための抗血小板療法、脳出血症例に行われる脳圧を下げる治療などです。
外科的治療としては脳血流を改善させるために、脳表面の血管と頭の皮膚の血管を直接つなぐ「直接バイパス手術」と、新しい血管が自然に生じることを期待して頭の筋肉や膜を脳に貼り付ける「間接バイパス手術」があります。

脳血管撮影で脳底部にもやもやした異常血管のみられることから1965年に命名されました。脳血管撮影で、内頸動脈終末部、前および中大脳動脈近位部が狭窄または閉塞し、その付近に異常血管網(もやもや血管)がみられ、これらの所見が両側性に認められます。ウイリス動脈輪部での閉塞が一次的な病変で、側副血行路として脳底部に細い穿通枝が異常発達し、特異な血管網を形成すると考えられます。欧米人では少なく、日本人に多い病気です。

年間の発症率は 0.35/10万人、男女比は1:1.7で女性にやや多く、初発年齢は二峰性で、6〜8歳を中心とする高い山(小児型)と30〜40歳を中心とする低い山(成人型)があります。また、姉妹発症, または母と娘の発症など家族性が10%みられます。
症状は、小児では繰り返す頭痛発作、脱力発作、けいれん発作、失神発作、不随意運動などの脳虚血発作で初発します。過呼吸時に発作や悪化があり、緩徐進行性で両側性が特徴で、脳波検査で特徴所見(re-build up)がみられます。
一方、成人では脳内出血や脳室内出血で初発するものが半数で、突然の片麻痺, 頭痛, 意識障害を呈します。脳虚血発症例では一般の脳梗塞との鑑別は困難です。CTでは小梗塞、脳室内出血(本疾患の診断は困難)、MRIでは内頚動脈から中大脳動脈と前大脳動脈にかけての血管信号が狭窄、途絶し、基底核部のもやもや血管を示す櫛状の無信号所見が特徴的です。MRAでは血管撮影と同様の所見が得られ、MRIとMRAは診断の第一選択です。血管撮影では、脳表血管を介する側副血行路の発達がみられます。SPECT、PETでは両側脳の血流低下と脳血管反応性の低下を認め、手術適応の決定に必要な検査です。
治療としては、脳虚血発作予防に脳血行再建術を行います。直接法(浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術)と間接法(①血流を保った側頭筋で脳表を覆い硬膜に縫合 ②浅側頭動脈を切断せずに皮下組織と脳表に置いて硬膜と縫合)があります。これらは、成人出血例の再出血予防措置としても有効です。

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